○教会・礼拝堂
リン、すらりと刀を抜いて、
リン「断ル!」
クーロン「はは、バケモノの力を借りて皇帝の座に着くのはいやだってか? 甘ぇな」
リン「笑わせるナ、皇帝になるためならバケモノの力でも使ウ」
クーロン「ほう?」
リン「俺が否定してるのは、おまえダ、クーロン。……そうだナ、たとえば、
おまえを殺して、バケモノだけいただくっていうのはどうダ?」
クーロン「悲しいこといってくれるぜ。俺を否定する? 誰よりもヤオ家を、
おまえを大事に思ってる俺を?」
リン「……違ウ。おまえが、本当に大事なのハ――」
そこに壁をぶち抜いて、触手がエド・アル・ランファンを礼拝堂へ
エド・アル・ランファン「(悲鳴)」
リン「……ッッ? ランファン! エド、アル!」
ランファン「(苦悶しながら)若っ」
クーロン「その女、おまえの護衛役だろ? いらねぇよ、太歳さえいれば――」
リン「クーロン! 太歳にランファンたちを解放させろ」
クーロン「できない相談だなぁ」
リン「ならバ、操ってるおまえを斬ればコイツはおとなしくなるはずだナ」
クーロン「斬る? へぇ、俺を? おまえが?」
リン「そうダ。そうしておけばよかっタ、五年前に、この手デ」
すらり、とクーロンも刀を抜く
クーロン「わかってんのか? おまえに剣術や体術を教えたのは、俺だぜ」
リン「教わったのは基礎だけダ。あとは自分で磨いタ!」
クーロン「ははっ、じゃあ、試験といくか。おまえが勝ったらいうとおりにしてやる。
俺が勝ったら――従ってもらうぜ」
リン「フン、――好きにしロ!」
剣戟開始
ランファン「若!」
リン「(気合の声)」
クーロン「(余裕で)へぇ、思ったより鋭いな。だが……まだまだ雑だ!」
リン「(斬り返されて)――ちっ! この!」
リン、足払いを放つ(クーロン、余裕でかわす)
クーロン「足払い、体術を混ぜてきたか。頭、使うようになったな」
リン「うるさイ!」
クーロン「だが、足りないぜ、その程度じゃ。――そら!」
リン「(弾き飛ばされ)ぐあっ!」
クーロン「(楽しげに)もっと集中しろよ、すぐ終わっちまうぞ」
クーロン、怒濤のラッシュ、リン、防戦一方
ゾゾゾゾゾ、と蠢くエドたちを捕らえている触手
ランファン「なんとかして解けないのカ! エド、アル!」
エド「手さえ使えれば、これくらい! ぐぬぬぬぬ……くそッ、アル、そっちは!」
アル「む〜〜〜〜っっ! ダメだ、すごく強いよ、これ!」
クーロン「どうだ? そろそろ、その気になってきたかよ、リン!」
リン「なるカ! 阿呆ガ!」
クーロン「頑固なところは昔から変わらねぇな。――けどよ!」
ぎぃん! とクーロン、リンの刀を飛ばす
リン「(小声)――しまっタ、刀が!」
クーロン「こういうとき、この国では『チェックメイト』っていうんだぜ」
リン「くっ……」
クーロン「さぁ俺と行こう、リン。おまえはなにもしなくても、俺が」
リン「断る、といったはずダ」
クーロン「なんでわからねぇんだ、おまえは! 俺が、皇帝にしてやるって――」
カツーンと足音が響き、礼拝堂にノノが入ってくる
ノノ「困ったものね。ひとのものを勝手に操ってくれて」
クーロン「誰だ!」
ずるりと触手が解けて、エドたち、床に放りだされる
アル「わっ、痛タタ……触手がひとりでに解けた?」
ゾゾゾゾゾ、と触手が集まって、モゴゴゴゴ、となにかの形に
ランファン「なにっ? 一箇所に集まって……なんだアレは、バケモノ?」
触手(苔)、異形のバケモノに
クーロン「おいおい、俺は、そんな命令してねぇぞ」
研究対象0号「(咆吼)キシャアアアアアアアアアアアアアアアア!」
クーロン「ガキ、てめぇ町長ンとこの娘だ――いや、違うな、なにもんだ!?」
ノノ「私は、この子たちの保護者よ」
エド「おい、ノノ! ……じゃなくて……おまえ、ひょっとして
まさかメイヴェルか!?」
ノノ(メイヴェル)「ええ、そうよ、エド」
クーロン「保護者だと。バカなこというな、コイツは俺のもんだ! 俺の!」
ノノ(メイヴェル)「(くすくす笑って)バカはあなたよ、おバカさん。そうね、この子たちを目覚めさせてくれたことは感謝しているわ。
けれど、もう返してもらう。だって、この子たちは私が滅びをばら撒くために働いてもらわなくていけないのだもの」
クーロン「……滅び?」
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